TSMCは8月12日、組織運営(organization operation)を最適化し、経営効率をさらに高めるため、今後2年で窒化ガリウム(GaN)を主とする6インチウェハー製造から徐々に撤退、8インチウェハー生産能力の統合を続けることを決めたと表明していた。
レポートでDIGITIMESは、TSMCが自社でEUVペリクルを量産できれば、EUVプロセスの歩留まり向上とコスト減が実現し、競合との差をさらに広げることができる他、製造装置・材料サプライチェーンにも新たなビジネスチャンスをもたらす可能性があるとの見方を示した。
DIGITIMESの伝えた半導体製造装置サプライヤーは、TSMCが6~8インチファブ再編後の新計画を策定していると指摘。6インチファブをCoPoSの生産拠点に転換するとした。さらに注目すべきは8インチファブ「Fab 3・Fab 5・Fab 8」で、人員の20〜30%を南部サイエンスパークや高雄工場へ配置転換する他、Fab 3では自社製EUVフォトマスク用ペリクルの開発に本格参入する予定だとし、これにより露光装置大手蘭ASMLなど既存サプライチェーンに対する依存を下げる狙いがあると述べた。
このサプライヤーは、普通規格のEUV露光装置は価格が1台あたり約1億5000万米ドル、最新のHigh-NA EUV装置に至っては3億5000万米ドルに上るとし、その供給はASMLが独占していると指摘。先進プロセスのコスト上昇が続く中、TSMCではHigh-NA装置の調達を抑えて、歩留まり改善とコスト削減を可能にする代替策の検討を進めているとした。
DIGITIMESの伝えた台湾の半導体業界筋によると、ペリクルは塵粒汚染を防ぐ重要部材だが、EUV世代では従来の有機ペリクルが透過率や安定性の面で使用できず、現在は「ノンペリクル」方式が主流になっていると指摘。ただこの方式ではマスクの検査や修復を頻繁に行う必要があり、コストと生産効率に大きな課題を抱えているとし、ASMLも長年研究を続けているが、量産化には至っていないとした。
その上でTSMCについて、長年にわたり開発を進めており、7nm(ナノメートル)以下の先進プロセスにおいては、ペリクルが生産効率とコスト減に極めて重要と判断、今回自社開発計画を加速する方針を固めたと述べた。
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